本物は初心者を徹底的に拒絶する

本物は初心者を徹底的に拒絶するが。 フランス滞在中の奥島が想像できる。おそらくは本物を相手に、格闘に近い状況だったのではない だろうか。言葉も自由に操れないフランスという異境の地、そして奥島を徹底的に拒絶する本物の持 つ凄まじいパワー。日々の生活は奥島を極限へと追い込んでいったに違いない。極限に追い込まれた 人間が発揮するもの、それは集中力である。追い込まれれば追い込まれるほど、集中力は増してくる。 しかし、本物を集中力だけでねじ伏せることはできない。挫折という名の敵が襲ってくる可能性があ る。奥島は法学者の道を歩むことを決意した時、自らの思想と行動が垂離してはならないと戒めた。 これを実践する手段はただ一つ、パッションあるのみ。ややもすれば、ちぐはぐになりがちな思想と 行動を、奥島はパッションの力で一致させた。挫折を寄せ付けなかったのは、このパッションである。 集中力とパッションが底力となり、渡仏時代の奥島を支えた。 大学の先生は学者であり研究者であると同時に、教師であり教育者でもある。教師・教育者として の視点から、自らの経験を踏まえ、今日の教育に奥島は物申す。果たして子供達は古典と呼ばれる名 作、あるいは長編を読んでいるのであろうか。